· CMO Olivia マーケティング · 7 min read
Microsoft Advertisingが「AI Max」を全広告主に提供——検索広告の自動化は「任せる範囲」の設計になる
Microsoft Advertisingは2026年8月27日、検索キャンペーン向けの「AI Max」がすべての広告主に提供されたと公表しました。検索語マッチング・文面カスタマイズ・最終URL拡張の3機能を、マーケティング責任者の視点で「任せる範囲と止める手段」から読み解きます。
※ 本記事は2026年9月20日時点の公開情報に基づきます。提供状況は変化するため、最新情報は各社公式発表等をご参照ください。
Microsoft Advertisingは2026年8月27日、公式ブログで、検索キャンペーン向けの機能群「AI Max」がすべての広告主に提供されたと公表しました。既存のキャンペーンの内容にMicrosoft AIを組み合わせる任意(optional)の機能群で、検索語マッチング、文面カスタマイズ、最終URL拡張の3つで構成されます(出典: Microsoft Advertising)。
検索語・広告文・着地先が同時に動く
Microsoftの説明では、検索語マッチングはキーワード一覧の外にある関連検索を見つけ、文面カスタマイズは既存のアセットとサイトの内容から追加の文面を生成・テストし、最終URL拡張は常に固定のランディングページへ送る代わりに、探している内容に最も合うページへ誘導できます。確認手段としては、検索語・キーワードのレポートに加わる新しい「AI optimized」マッチタイプのラベル、AI生成アセットを広告主提供のクリエイティブと並べて確認できるアセットレポート、誘導先を見る新しい検索語ランディングページのレポートテンプレートが挙げられています。制御の手段は、除外キーワード、入札戦略、予算など既存の検索キャンペーンのコントロールの尊重に加え、ブランドの包含・除外と、AI生成のアセットに特定の語句が現れないようにする語句の除外です。AI生成クリエイティブへの追加のガイダンスとなるプロンプトベースのメッセージングガイドラインは「coming soon」(近日提供予定)とされています(出典: Microsoft Advertising)。
マーケティング責任者として注目したのは、語句の除外とブランドの設定が、操作ではなく方針の問題だという点です。使わないと決めている表現や、ブランド語への広告費の使い方は、有効化の前に人が決めておく項目だと私たちは読みました。
数字は「発表元の分析」として読む
Microsoftは、初期テストで広告主のコンバージョンが、AI Maxを無効にした対照の検索キャンペーンと比べて少なくとも8%増えたとしています。脚注によれば、根拠はMicrosoftの社内データ(2026年6〜8月、全世界)で、広告主が実施した44件のA/B実験において、入札戦略とキャンペーン予算を維持したまま有効と無効を比べたものです。44広告主の支出加重のコンバージョン増加は約13.6%で、10件の実験ではコンバージョンまたはコンバージョン値に統計的に有意な好結果がありました(出典: Microsoft Advertising)。
有意な好結果が確認されたのは44件のうち10件で、それ以外の実験については脚注に記述がありません。どの広告主でも同じ増加が見込めるという意味ではなく、自社での効果は自社の実験で確かめるしかないと私たちは考えます。
「既定でオン」と引き継ぎへの備え
Microsoft Advertisingで新規に作成する検索キャンペーンでは、AI Maxは既定で有効になり、作成中でも作成後でもいつでもオフにできます。Google Importを使う場合は、AI Maxの設定をGoogle Adsから引き継げるようになり、定期インポートでは、Google AdsでAI Maxが有効なキャンペーンに対応するMicrosoftのキャンペーンが、今後の同期でもその設定を引き継ぎ続けるとされています(出典: Microsoft Advertising)。
Microsoft側で個別に設定を変えた場合の同期時の扱いは、発表文から読み取れません。実務では、1キャンペーンから有効と無効を比べる実験を行い、どのレポートで何を確認するかを先に決めておくのが現実的です。なお、発表文は地域別の提供時期に触れていません。日本のアカウントでの画面や機能は、自社の管理画面での確認が前提です。
まとめ
- Microsoft Advertisingは2026年8月27日、検索語マッチング・文面カスタマイズ・最終URL拡張の3機能からなる「AI Max」をすべての広告主に提供したと公表した
- 確認手段は「AI optimized」ラベル、アセットレポート、検索語ランディングページのレポートの3つ。制御の手段は既存コントロールの尊重、ブランドの包含・除外、語句の除外で、メッセージングガイドラインは「coming soon」
- 効果の根拠は広告主が実施した44件のA/B実験で、支出加重のコンバージョン増加は約13.6%、有意な好結果は10件。いずれも発表元の社内分析である
- 新規作成の検索キャンペーンでは既定で有効(いつでもオフ可)で、Google Importでは設定が引き継がれる。地域別の提供時期は発表文に記載がない
検索広告の自動化で変わるのは、作業量というより、人が決める場所だと私たちは見ています。ブランドの境界、使わない表現、実験の設計は人が決めるまま残り、自動化の恩恵を受けられるかは、その決める作業を先に済ませているかで分かれると私たちは考えます。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・財務的・経営的助言ではありません。具体的な課題については専門家にご相談ください。