· CHRO Emma 人事・組織  · 9 min read

ニューヨーク連銀の地域企業調査でサービス業の61%がAIを利用、AIへの対応としての解雇は4%——人事の「再教育」課題

ニューヨーク連銀は2026年9月1日、ニューヨーク州とニュージャージー州北部の企業調査の分析を掲載しました。サービス業の61%がAIを利用する一方、過去6か月にAIへの対応として解雇したのは4%でした。再教育を軸に人事の視点で読み解きます。

ニューヨーク連銀は2026年9月1日、ニューヨーク州とニュージャージー州北部の企業調査の分析を掲載しました。サービス業の61%がAIを利用する一方、過去6か月にAIへの対応として解雇したのは4%でした。再教育を軸に人事の視点で読み解きます。

※ 本記事は2026年9月28日時点の公開情報に基づきます。最新情報は各社公式発表等をご参照ください。

ニューヨーク連邦準備銀行(ニューヨーク連銀)のブログ「Liberty Street Economics」は2026年9月1日、ニューヨーク州とニュージャージー州北部の企業への2026年8月の調査を分析した記事を掲載しました。過去6か月に業務プロセスの一部としてAIを使ったのはサービス業の61%、製造業の51%。過去6か月にAIへの対応として従業員を解雇したと答えたのはサービス業の**4%**で、製造業は今年も昨年も0でした(出典: ニューヨーク連銀)。

利用率は61%でも、使う従業員は中央値17%

サービス業の利用率は2024年の25%、2025年の40%、2026年の61%と上がり、製造業は16%、26%、51%です。情報検索ツールとしてのみ使う企業は、AI利用に数えていません。一方、AI投資を「最小限から控えめ」と自己評価した企業はサービス業の4分の3、製造業の9割超で、AI導入企業で実際にAIを使う従業員の割合の中央値は、サービス業17%、製造業7%でした(出典: ニューヨーク連銀)。AIを導入していない企業の約3分の1は、効果的に使うための技術スキルを持つ人材が現時点でいないと答えています(出典: 同上)。

「導入している」と「使っている」は別の状態です。人事責任者として、私たちは、導入率ではなく現場で使う人の比率が、研修や評価を設計する出発点になると読みました。

解雇は少数、主な対応は再教育——採用は両方向に動く

過去6か月にAIへの対応として解雇したのはサービス業の4%(昨年1%)。AIがなければ採用していたより少なく採用したのはサービス業の約15%(昨年の12%と同程度)、AIを活用するために人を増やしたのはサービス業の約13%(昨年と同程度)でした(出典: ニューヨーク連銀)。本文は「サービス業」と書きますが、同じ箇所の図の見出しは「Share of AI users (percent)」で、母数の表記が異なります。引用の際は図の注記も確認してください。

再教育は、AI導入企業のうちサービス業の3分の1強、製造業の2割超が実施したと答えています。筆者は、既存の従業員は置き換えられるより再教育される可能性がはるかに高いと整理しています。中身は、まったく新しい役割への準備より現在の仕事をより効果的にこなすためのものが中心で、AIの出力の検証やデータセキュリティなど責任ある利用を重視する企業も多いとされています(出典: 同上)。

中小企業人事への翻訳——調査の指標を自社の点検項目に

対象はニューヨーク州とニュージャージー州北部の地域企業であり、日本の企業にそのまま当てはまるわけではありません。筆者も、AI技術とその用途は急速に進化しており、導入が成熟すれば傾向は変わりうると記しています(出典: ニューヨーク連銀)。記事末には、見解は筆者個人のもので、連銀や連邦準備制度の立場を必ずしも反映しないとの断り書きがあります(出典: 同上)。同記事が参照する最近の研究の一つは、AIが入社して間もない従業員の担うことの多い定型業務を代替しうるため、エントリーレベルの労働者が大きな影響を受けうると示唆しています。これは今回の調査結果ではありません(出典: 同上)。効果を約束するものではありませんが、次の3点が点検の出発点になります。

  1. 使っている人を数える。 利用割合の中央値を示した調査にならい、自社でAIを実際に業務で使う社員の割合を把握します。
  2. 再教育を現職の仕事に結びつけて棚卸しする。 基本リテラシー、定型業務の自動化、出力の検証など、調査が挙げる内容を自社の研修と突き合わせます。
  3. 新人の定型業務を洗い出す。 その経験を育成にどう残すかを、配置とあわせて検討します。

まとめ

  • ニューヨーク連銀のブログは2026年9月1日、ニューヨーク州とニュージャージー州北部の企業への2026年8月の調査を分析した記事を掲載。AIを使った企業はサービス業61%、製造業51%(昨年は40%、26%)
  • AI導入企業で従業員の利用割合は中央値でサービス業17%、製造業7%。AI投資を「最小限から控えめ」とする企業はサービス業の4分の3、製造業の9割超
  • 過去6か月にAIへの対応として解雇したのは本文の表記でサービス業の4%(昨年1%)、製造業は今年も昨年も0。サービス業の約15%がAIがなければ採用していたより少なく採用し、約13%がAIを活用するために人を増やした
  • AI導入企業のうち従業員を再教育したのはサービス業で3分の1強、製造業で2割超。内容は現在の仕事をより効果的に行うための訓練が中心

数字が示すのは、解雇は少数にとどまる一方で、導入は広がり、実際にAIを使う従業員の割合は限られているという現状です。筆者自身も、導入が成熟すればパターンは変わりうると述べています。人事が今できるのは、雇用の先行きを言い切ることではなく、誰がAIを使い、何を学び、どの仕事が変わりつつあるかを自社で把握し、再教育と採用計画を同じ机で設計することだと私たちは考えます。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・財務的・経営的助言ではありません。具体的な課題については専門家にご相談ください。

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